去る8月4日、5日と二日間に渡って開催させて頂いたルーツミュージックフェスティバルは
多くの方々の応援とご協力を頂いて盛況のうちに終えることが出来ました。
このブログでも当日の様子をご紹介したかったのですが
イベントを終えてすぐに、うちの農園の主観作物の甘藷の収穫が始まりまさに
農繁期に突入してしまってパソコンに向かう余力がありませんでした。。。
今年は出荷のペースが速く、すでに10トンの甘藷を出荷しました。
作柄が悪かった昨年に比べると、今年は順調です。一昨日でうちの出荷は
小休止になりましたので、この間にルーツミュージックフェスティバルを振りかえり
ながら報告させて頂きたいと思います。
イベントの様子は智恵子がフェイスブックなどでも紹介させて頂いたのでブログでは
私個人の思いや感じたことを中心に書いてみたいと思います。
アイリッシュミュージックやカントリーブルースなどのいわゆるルーツミュージックに
惹かれ続けて探求してきましたが、熱が高じて農村に移住して農業を始めたときに
ひとつの目標にしていたのがこのイベントでした。
民謡の生まれてきた農村に暮らして農作業に従事して、その環境と音楽を
結び付けてみれば、何かが再現できて、面白いことが出来るのではないかと
考えたものの、やはり長い年月が掛かりました。
以前から私の音楽活動を応援してくださっている皆さんが
一見突拍子も無いような私の取り組みをも、暖かく応援し続けて下さったことも
本当に有難く感じています。
潮時というか、自然の流れにのってできるような感じをつかめるまで
無理にやらないでおこうと考えていたのですが、今年に入ったあたりから
そういった雰囲気を強く感じることが出来るようになりまして、思い切って
実現に踏み切りました。
農業は自分たちなりに一生懸命取り組んできましたので、良いことや大変なことが
色々とあって本当に濃い年月でした。上手くいくときもあれば酷い状況もあって
そんなときに、いつも地域の人たちが心配してくれたり暖かく応援してくれて
やはり農業を通じてたくさんの方と親しくなることが出来たと思います。
畑で仕事をしていればみんなが声をかけてくれますし、農家であつまって
焼酎を飲みながら芋の話や集落の話題で熱く盛り上がったりすることが日常になってくると
私たちの音楽や農業への思いも皆が深く理解して応援をしてくれるように
なって、今回のイベントへも強く背中を押してくれました。
農業と音楽、その両方で繋がりを持てた多くの皆さんのご協力と応援を頂いて
実現できたことに、本当に感無量の思いです。
イベントを制作するにあたって、音楽のコンサートと農業・農村体験の両方を
盛り込みたいと考えていましたので、思い切って2日間にわたり開催することに
しました。
当初は野外でのコンサートも検討したのですが、やはり季節柄、天候の
問題などを踏まえてホールでの開催を決めました。
会場探しの段階で、想定していた規模のホールが使えず、少し大きめの
会場で決行することになりましたが、宣伝告知を協力してくださった方々の
ご尽力もあり、予想以上に多くの方々にご来場頂くことが出来ましたので
良い結果となりました。

オープニングではご挨拶と、イベントの趣旨を改めて解説させて頂きました。
そもそも「ルーツミュージック」という言葉に聴きなれない方の方が多いのを承知のうえで
あえてタイトルに冠しましたから、私なりのルーツミュージックの解釈と、それへの
取り組みを少しお話させて頂いたうえで、プロジェクターを使用してアイルランド音楽や
ブルースの生まれた背景などを感じて頂きました。
本編では、まずは私たち謡楽舎がアイルランド民謡を中心に聴いて頂きました。
地元で演奏させて頂く機会も多いので、同じネタ&オチのMCに笑って下さる
暖かいお客様に感謝です(笑)。
2番手は岡山から来てくれた土師剛君がカリブ海のカリプソを演奏しました。
私は土師君が大学生のころに出会っていますので、かれこれ10年以上の
付き合いになりますが、彼の地道な音楽への取り組みはいつも変わることが
なく、久しぶりにステージでの演奏を聴くことが出来ましたが、ギター独奏で
カリプソの独特な雰囲気を表現するということにも一層磨きがかかっていることを
感じました。
続いてギターとハンマーダルシマーのデュオ、亀工房さんに
演奏して頂きました。
亀工房さんは日本でも非常に珍しいダルシマーとギターのデュオで
音楽の魅力は勿論ですが、ご夫婦のお人柄のあふれるステージがとても
素敵です。亀工房さんとの出会いも、2004年と記憶していますので
長いお付き合いをさせて頂いています。
今回のイベントにも是非にとお願いして長野から駆け付けて頂きました。
休憩を挟んで、打田十紀夫さんにご登場頂きました!
打田さんはブルースを主としたギターミュージックの権威として広く知られていますが
ギターを通したルーツミュージックへの探求と造詣の深さは
まさに右に並ぶ人がいないという方です。
早くからステファン・グロスマンなど海外のアーティストとの交流を持たれ
ご自身の活動と並行して、長きにわたる日本国内への啓蒙活動で多くの
ミュージシャンやギターファンに影響を与えてこられています。
私も10代のころに、打田さんの手掛ける出版物などに衝撃を受けて音楽に
はまり込んだ一人です。
「ギターを手にすれば、世界の音楽に触れることができる」
そんな素敵なことを知って、私もブルースやアイリッシュにのめり込み
音楽活動を続けてきました。
そのなかで、たくさんの方々、そして今回の出演者の方々とも出会いましたし
色々なところへ演奏に行き、様々なことを考えるきっかけを得ることが出来ました。
私の場合は、その流れの中で農村に住み、農業をやることになりましたから
つくづくこういう音楽に出会えたことが始まりだったと思っています。
打田さんの蒔いた種は色々なところで芽吹いていますが、私の活動もその
ひとつですので、今回のイベントでも打田さんに出演して頂くことは
私の念願のひとつでもありました。
打田さんのステージのなかで一緒に演奏させて頂きました。
打田さんのオリジナル曲で、ステファン・グロスマンへ感謝の気持ちを込めて作られた
「Thanks to Stefan」を演奏させて頂きました。
打田さんはステファンから学んだことを、私たちはさらに伝えてもらっているの
ですから、今回この曲を打田さんと一緒に演奏できたことは私の中では
非常に意味のあることでした。脈々と受け継がれ広がっていく音楽の素晴らしさや
楽しさを感じて頂けたのではないでしょうか。
最後は出演者全員で!
アメリカのフォークソング「Freight Train」とスコットランドの民謡「蛍の光」を
皆で演奏しました。出演者同士の交流も長いこともあり、またルーツミュージックを
愛するメンバーでの演奏はとても楽しいものとなりました。
終演後は、ご来場頂いた皆さんから暖かいお言葉をたくさん頂きまして
本当に嬉しかったです。CD販売ブースも大賑わいで、出演者のみなさんも
暖かい声援にとても喜んでいました。
普通はこれで終了!となるところですが、翌5日も盛りだくさんの予定でしたから
宿舎(謡楽舎)に戻ってからも深酒にならないよう自制しつつ(笑)
翌日に備えました。
今回は出演者全員に民宿・謡楽舎に泊まってもらったのですが、結構な
人数でしたので狭い思いをさせてしまったのですが、長い付き合いの間柄ですから
部活の合宿のような懐かしい感じで、それもなかなか楽しかったです。
翌日の農業・農村体験イベントは十分な事前準備を行っていたつもりでしたが
やはり朝から大慌てでした。
この写真は前々日に仕込みをした時の一枚です。
謡楽舎の敷地内に各体験講座の準備とバーベキュー大会の設営をしたのですが、
これだけの人数が手伝ってくれても結構な時間が掛かりました。
みんなご近所の方々です(打田さんが溶け込んでいます)。
よく見るとビールや焼酎が写りこんでいますが(笑)、炎天下みんな一生懸命
手伝ってくれました。本当に感謝です!
当日の最初の体験講座は私が担当する「収穫体験」でした。
この日のために2か月をかけてキュウリと佐土原ナスを仕込んでいました。
悪天候でも実施できるようにハウスの中に準備したのですが、好天に
恵まれて・・・暑かったです(笑)。
ハウスは開けていても日中40度を超えますから、直前に全面散水をして
から入ってもらいました。
のんびりとした収穫体験を想定していたのですが、この頃、夏野菜が
高騰していた時期だったので女性の参加者の皆さんを中心に予期せぬ
白熱した収穫競争?が展開されました!
ちょっとびっくりしましたが(笑)、みなさんとても喜んでくれましたので
良かったです。
終了後の一枚!参加者のみなさんは参加費用からすると採りすぎ
たのではないかと心配してくれましたが、大丈夫です。
あれからも収穫を続け、8月30日現在も出荷していますので
しっかり売り上げました(笑)。
それにしてもアシスタントをしてくれた土師君が溶け込んでるなあ~
「土師君も農業やるかい?(笑)」
謡楽舎での体験講座と並行して、ご近所の唐木戸陶苑さんでは陶器市と
陶器体験講座、そして野菜直売市を開催しました。
私たちの地区は町から少し離れた山間部の集落なのですが
陶芸工房もあれば、ギターを制作される方もいたり、なかなか
面白い地域です。環境もとても良いので、気軽に遊びにきて
貰っても楽しいですよ!
謡楽舎の会場では打田さんのブルースワークショップが開催されました!
ここではかなり音楽に詳しい方々も参加され、ディープかつ楽しい
ひと時を過ごして頂きました。
深い専門的な知識を楽しく伝えるというのは、なかなか難しいことですが
打田さんの講義はさすがの一言です。
ライブでのステージとはまた少し違う形で
ブルースの世界に触れて頂けたのではないでしょうか。
続いて開催されたのが民族楽器体験です。
コンサートの出演者が担当して、それぞれの楽器の紹介をして
実際に体験してもらいました。
私たちは三味線と胡弓を
土師君はギターを紹介しました。
そして、予想通り、最も注目を集め人気だったのがハンマーダルシマーです!
幻想的な広がりと打楽器的なリズムを持ち合わせるとっても魅力的な楽器です。
亀工房のお二人の優しいアシストで、楽しんで頂けたと思います。
こういった機会が何かのきっかけになれば素敵だなあと思います。
この間も窓の向こうではバーベキューの準備が急ピッチで進んでいました。。。
そしていよいよ始まりました、バーベキューパーティー!
最初の乾杯のときはまだ明るくて、皆さんまだシラフさわやかな感じですね~
うちの民宿の庭がここまでの会場になるとは・・・お手伝いの皆さんのお陰です!
だんだん日が暮れてくると照明も良い雰囲気で、お酒も食事も進み
盛り上がってきます。
今回は飛び入り演奏のステージも設けていました。まずは
地元の三線の名手、税田さんと私が演奏しました。
高鍋のライブハウス、ドルフィーのマスター藤澤さんがサックスを
披露してくれました。ドルフィーでは私たちも移住前から出演させて
頂いていますし、打田さんも毎年演奏に来られています。ドルフィーでの
出会いも数多くのきっかけになっています。
今回の食事の目玉であるバーベキューは肉の仕入れもこだわりましたが
焼き手も、プロを招いて腕をふるって貰いましたから、大好評でした!
盛り上がりも最高潮になってきて、焼き場でワンショット!
いよいよ最後の一本締め!いや~盛り上がりました。楽しいひと時でした。
あとで確認すると80人近い方が参加されてのバーベキューでした。
これ以上の規模になると、来年は庭の木を2,3本切らないといけないかも・・・
二日間に渡っての開催は初めてのことでしたし、そもそも宮崎に移住後
初めての大きなイベント開催だったので、手探りの部分が大きかったのですが
関わってくださった皆さんのお陰でここまで盛り上がることが出来ました。
スタッフをお願いしていた方はもちろんですが、出演者のみなさん、お客様までも
一緒になってお力添えをして下さいました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
音楽をやってきて、農業に取り組んで、多くの方と素晴らしいご縁を頂くことができて
本当に良かったとつくづく思います。
私が惹かれ続けてきた、ルーツミュージック、民謡というのはやはり人の営みの
なかで、人のつながりのなかで、育まれてきたものであって、だからこそ暖かくて
素晴らしいものだということを、私自身、今回実感できて、再確認しました。
音楽と農業というと、かけ離れたもののように思われがちですが、人のつながりを
基にしているということで、私にとっては同じように温かみを感じるのです。
今回、それをイベントとして表現することを目指したのですが、
このイベント自体も人のつながりがあってこそ、みんなで一緒に盛り上がることが
出来ました。
この先のことも私なりの思いはありますが、きっと人のつながりの中で
また次のことが、流れが出来ていくのだと思います。
関わってくださった皆さんに心より感謝し、お礼を申し上げます。
本当にありがとうございました!
今後ともよろしくお願いします!
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